緑ナンバー(一般貨物運送事業)を新規許可を取得するための条件

緑ナンバー(一般貨物運送事業)を新規許可を取得するための条件

これから運送事業(一般貨物自動車運送事業)の許可を取得して、緑ナンバーを取得しようと検討されている方は、まず許可を取るためにはどんな準備をしなきゃいけないの?と思っている方もいらっしゃると思います。よく【人・モノ・金】と言われていますが、ここではその【人→モノ→金】の順番で運送事業の許可に必要な条件をざっくりとですがお話ししていきます。

【人】編 

条件① <事業者の条件>

欠格事由

貨物運送事業法には欠格事由が定められており、経営者・役員が欠格事由に該当する場合はそもそも許可が下りることはありません。
では、どんな欠格事由があるかというと、主な欠格事由は下記のとおりです。

①1年以上の懲役又は禁錮を受けてから5年経過していない
②一般貨物自動車運送事業許可の取り消しを受けた日から5年経過していない
 ※申請する法人の親会社、子会社、グループ会社が許可取消を受けてから5年経過していない場合も同様に欠格事由に該当します。
③未成年または成年被後見人の場合、その法定代理人が欠格事由に該当する場合

他の規定は貨物運送事業法第5条を参照ください。

・法令試験に合格する知識を有しているか

許可申請後に常勤役員が貨物自動車運送事業法関係の法律についての試験に合格しなければなりません。東北運輸局の法令試験の結果は東北運輸局HPで確認ができます。試験内容は運送事業を行う事業者にとっては必須の知識となりますので事前に十分な勉強をするべきでしょう。
当事務所ではご依頼をいただいた方には過去問・テキストを提供しており、申請者自身であれこれと準備していただく必要はありません。

条件② <運行管理者の確保>

運行管理者は事業を行う上で、輸送の安全を確保するために、運転手に対して始業前の対面点呼、運行可否の判断、運転手への教育などをする責任者です。

貨物運送事業法では

第十八条 一般貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため、国土交通省令で定めるところにより、運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから、運行管理者を選任しなければならない。

と定められています。つまり、運行管理者資格を取得していない人を運行管理者として選任することはできません。
また、営業所に選任する運行管理者の人数も決められています。わかりやすくまとめてみます。

【事業車両台数1~29台】必要な運行管理者の選任人数:最低1名
【事業車両台数30~59台】必要な運行管理者の選任人数:最低2名
【事業車両台数60~89台】必要な運行管理者の選任人数:最低3名
※以降、30人増えるごとに1名追加で必要です
※1営業所に複数の運行管理者を選任する場合は、統括運行管理者の設置も義務づけら

では、運行管理者になるにはどうすればいいのか。

運行管理者資格者証を取得するための2つの方法

  • 国家資格の運行管理者試験に合格すること
  • 5年の実務経験の上で、指定の講習を5回受けること(基礎講習1回+一般講習4回)

があり、実務経験を重ねて講習を受けるか年2回の試験に合格する必要があります。

条件③ <整備管理者の選任>

整備管理者は1営業所に最低1人の整備管理者を選任します。運行管理者と異なり、台数による選任規定は無いので一人で大丈夫です。
道路運送車両法で事業車両の日常点検や3か月点検の管理、車庫の管理の責任者として定められています。万が一、事故を起こせば事業に支障が出るばかりか行政処分・損害賠償等も想定されますので大切な役割ですね。

道路運送車両法第三十二条の整備管理者の職務権限はわかりやすくまとめると

  1. 日常点検の実施方法を定めること。
  2. 日常点検の結果に基づき、運行の可否を決定すること。
  3. 事業車両の定期点検を実施すること。
  4. 日常・定期点検のほか、随時必要な点検を実施すること。
  5. 1、3、4の点検の結果必要な整備を実施すること。
  6. 定期点検及び整備の実施計画を定めること。
  7. 点検整備記録簿その他の点検及び整備に関する記録簿を管理すること。
  8. 自動車車庫を管理すること。
  9. 前各号に掲げる事項を処理するため、運転者、整備員その他の者を指導し、又は監督すること

車両の運行計画を的確行うためには整備不良のままでは重大な事故を引き起こす可能性もあります。
整備管理者は責任ある役割を担っています。
では、どんな人は整備管理者になれるかというと、

整備管理者として選任条件

道路運送車両法施行規則第三十一条の四 (整備管理者の資格)
 整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に関して二年以上実務の経験を有し、地方運輸局長が行う研修を修了した者であること。
 自動車整備士技能検定規則(昭和二十六年運輸省令第七十一号)の規定による一級、二級又は三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること。
 前二号に掲げる技能と同等の技能として国土交通大臣が告示で定める基準以上の技能を有すること。

上記のいずれかが条件となりますが、多くは1か2の条件で選任されるのではないでしょうか。

主な整備士の選任条件
・2年の整備実務経験があり、地方運輸局長が行う研修(整備管理者選任前研修)を受けている
・整備士として国家資格のを持っている(1級から3級までの整備士資格)

最近は整備士の資格校の生徒も減少傾向で自動車整備工場でも整備士の確保が大変な時代です。実務経験でお考えの方は整備管理者選任研修を必ず受けましょう。

条件④ <運転者の確保>

トラックと同じく事業を行っていく上で大事なの運転手の存在です。運転手を選任しなければいけませんが許可を取得する為にはトラックの台数以上の運転手をただ確保すればいいのか?
実はそれだけではありません。
では、認可申請で運転手に求められていること確認していきます。

岩手県を管轄する東北運輸局の公示されている許可申請の処理方針から抜粋
運行管理体制
車両数及びその他の事業計画に応じた適切な員数の運転者を常に確保し得る
ものであること。
この場合、運転者が貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第2項に違反す
る者でないこと。
貨物自動車運送事業輸送安全規則第
(過労運転の防止)
第三条 一般貨物自動車運送事業者等は、事業計画に従い業務を行うに必要な員数の事業用自動車の運転者(以下「運転者」という。)を常時選任しておかなければならない。
 前項の規定により選任する運転者は、日々雇い入れられる者、二月以内の期間を定めて使用される者又は試みの使用期間中の者(十四日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)であってはならない。

運転手のとして選任ができない人は
・日雇いの人
・二か月以内の期間契約社員
・試用期間中の人(14日を超えた人はできます)

となります。

上記の人は運送業の運転手にはなれません。ココを必ずチェックして、認可を取るためには適切な事業計画に応じた員数の運転手を常に確保するよう求められているのでトラック台数以上の運転手を雇い入れる計画を立てていきましょう。
また、当然事業車両の大きさに従った運転免許を選任する運転手が取得しているかもチェックする必要があります。

【モノ】編

条件⑤ 営業所、休憩睡眠施設の確保

次にモノ編に入ります。運送業を事業として行っていく上で、日常の配車業務や日報・点呼記録簿の管理、運行管理者による対面点呼の実施、業務おける打ち合わせなど営業所で色々なことを行わなければなりません。また、運転手の休憩をする場所も確保しなければいけません。
ここでは営業所・休憩睡眠施設の面積や場所の要件について確認していきましょう。

岩手県を管轄する東北運輸局の公示されている許可申請の処理方針から抜粋
営業所
① 使用権原を有すること。
② 都市計画法、農地法、建築基準法等関係法令の規定に抵触しないこと。
③ 規模が事業計画に対応して適切なものであること。
④ 必要な備品を備えているなど、事業遂行上適切なものであること。
岩手県を管轄する東北運輸局の公示されている許可申請の処理方針から抜粋
休憩・睡眠施設
① 原則として、営業所又は車庫に併設するものであること。
② 乗務員が有効に利用することができる適切な施設であり、乗務員に睡眠を与
える必要がある場合には、少なくとも同時睡眠者1人当たり2.5平方メート
ル以上の広さを有するものであること。
③ 使用権原を有するものであること。
④ 都市計画法、農地法、建築基準法等関係法令の規定に抵触しないこと。

運輸局では上記を基準に要件を定めています。

運輸局が求めている営業所と休憩・睡眠施設の要件をまとめると
1.利用施設に使用権原を有すること
2.営業所に必要面積の規定は無いが、休憩・睡眠施設には最低一人当たり2.5平方㍍以上のスペースが求められる。ただし、営業所に面積要件がなくとも事業を行う上で必要な広さは求められます。
3.事業を行う予定の営業所と休憩・睡眠施設が都市計画法、農地法、建築基準法等の法令規定に抵触していないこと。

休憩・睡眠施設については面積要件がありますが、仮眠を与える業務の場合でなければベッドを置く必要もありません。気をつけなければいけないのが使用権原法令規定です。

使用権原
認可申請にあたって、営業所、休憩・睡眠施設となる物件を使用するにあたって、その権限があるかどうかを立証する書類を提出する必要があります。提出する書類は次のいずれか
・自己所有の場合は予定する物件の登記簿謄本
・賃貸物件の場合は契約期間が2年以上及び物件表示(位置、面積)のある賃貸借契約書
※ただし、賃貸借期間が2年に満たない場合、契約期間満了時の更新が自動更新になっている場合に限って使用権原を有するものとみなします。ちなみに賃貸の場合2年以上の使用権原の証明が必要になったのは令和2年11月に行われた公示基準の改正によって変わりました。

法令規定
予定する施設が下記の法令の規定に抵触していれば認可はおりません。必ず確認をしましょう。
□建築基準法・・・  該当する用途地域を確認し運送業の営業所として認められるか確認。
□都市計画法・・・  市街化調整区域では原則認められません。(例外があります)
□農地法・・・    農地を営業所とすることはできません。農地転用の手続きが必要です。
※ほか消防法等の関連法令の確認も必要です。

以上の事から営業所・休憩・睡眠施設の選定もこれらの事を確認せず決めてしまうと痛い出費が発生することもあります。事業者だけ判断せず専門の行政書士と相談しながら進める事で余計な費用をかけずに済むことになります。

条件⑥ <車庫の確保>

日々の事業車両の格納・日常点検を実施するためには車庫が必要です。では、運送業の車庫として認可されるにはどんなルールがあるか確認をしましょう。

岩手県を管轄する東北運輸局の公示されている許可申請の処理方針から抜粋
(4) 車庫
① 原則として営業所に併設するものであること。
ただし、併設できない場合は、平成3年6月25日運輸省告示第340号に
適合(当該営業所からの直線距離が、5キロメートル以内に設置)されるもの
であること。
② 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保さ
れ、かつ、計画車両数すべてを収容できるものであること。
③ 他の用途に使用される部分と明確に区画されていること。
④ 使用権原を有するものであること。
⑤ 都市計画法、農地法、建築基準法等関係法令の規定に抵触しないこと。
⑥ 前面道路については、原則として幅員証明書により、車両制限令に適合する
こと。

処理方針を参考に車庫要件として重要なのは「面積・寸法」「前面道路の幅員」「営業所から車庫までの距離」の要点です。

面積・寸法
計画する車両すべてが収容できる面積が必要で、かつ、車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保されていることが要件ですので、今後の増車も想定すると余裕を持った車庫の計画をするべきですね。

◆前面道路の幅員◆
車庫出入口の前面道路にて事業車両が通行するのに十分な幅員が必要です。幅員の確認については行政で幅員証明という書類を道路管理者の役所から取得した上で確認します。

◆営業所から車庫までの距離◆
車庫は営業所と併設しているのが原則ですが、併設できない場合は東北運輸局の運輸局では直線距離で5キロメートル以内に設置できます。※この距離については他の運輸局では異なります。

条件⑦ <トラックの確保>

運送業を始めるにはトラックがなければ何も始まりません。ここでどんな車両があればよいのか、また車両は何台あればいいのかなど確認をしましょう。

岩手県を管轄する東北運輸局の公示されている許可申請の処理方針から抜粋
(2) 最低車両台数 
 ① 営業所毎に配置する事業用自動車の数は種別(貨物自動車運送事業法施行規
 則(以下「施行規則」という。)第2条で定める種別)ごとに5両以上とする
 こと。
 ② 計画する事業用自動車(以下「計画車両」という。)にけん引車、被けん引- 2 -
 車を含む場合の最低車両台数の算定方法は、けん引車+被けん引車を1両と算
 定すること。
 ③ 霊きゅう運送、一般廃棄物運送、一般的に需要の少ないと認められる島しょ
 (他の地域と橋梁による連絡が不可能なもの。)の地域における事業について
 は、①に拘束されない。
 (3) 事業用自動車
 ① 計画車両の大きさ、構造等が輸送する貨物に適切なものであること。
 ② 使用権原を有するものであること。

運送事業で使う車両についても要件がありますね。

<車両の条件>以下のルールがあります!
1.【車両の構造・種類】
車検証に最大積載量が載っており用途が「貨物」であれば、平ボディでもバンでも形状は問いません。ただし、輸送する荷物に適切な車両にしましょう。
2.【最低車両台数】
1営業所につき5台以上のトラックが必要です。上記で解説したように軽自動車は5台に含めることはできません。ただし、4ナンバーのADバンなどは5台に含めることが可能です。
トラクターとトレーラーは2台(1セット)なければ1台にカウントされません。
3.【使用権原】
仕様権限は自己所有またはリースでもの構いません。

【金】編

条件⑧ <必要資金の証明>

認可申請の際には許可取得後の適正な運転資金が確保されていることが確認されます。
運送業の認可申請でもハードルの高い要件をされています。法改正により資本要件も厳しくなりました。
では、事業を開始に要する資金の内訳は何か確認しましょう。

資金項目内容
車両費車両を購入した場合は取得価格。                       
分割の場合は頭金+1か年分の割賦金。
リース車両の場合はリース料の1か年分。
建物費建物の取得費。(改造費含む)
分割の場合は頭金+1か年分の割賦金
賃貸物件の場合は1か年分の賃料。
土地費土地の取得費。(造成費含む)
分割の場合は頭金+1か年分の割賦金
賃貸物件の場合は1か年分の賃料。
機械器具、備品什器費取得費(割賦未払金も含む)
人件費役員報酬+社員の給与×6か月
手当×6か月
賞与
法定福利費(健康保険料+厚生年金保険料+雇用保険+労災保険等)
燃料費等燃料・油脂費及び修繕費(外注修繕+自家修繕+チューブ代)
保険料等自賠責保険料:保険料×1か年分
任意保険料:保険料×1か年分
※損害賠償保険(※危険物運送事業者の場合):保険料×1か年分
その他・税金自動車税+自動車重量税×12ヶ月分
環境性能割
登録免許税
(水道光熱費+通信費+広告宣伝費等)×2ヶ月分

必要な運転資金は、一般規模の会社で1500~2000万円くらいが目安とされています。
ただし、金額が大きい車両や営業所・車庫が既存用意されている状態であれば用意する運転資金の額は変わります。
あくまで事業を運営していく上で必要な運転資金が確保されているかが審査されることになります。

また、申請時には資金を確保している証明として残高証明を提出しますが、残高証明を取得するタイミングは申請時だけではありません。
・残高証明を提出するタイミング
「申請時」「許可が下りる直前」の2回における残高証明を提出しなければなりません。
1回目と2回目の間に必要資金の金額を下回らないようにすることが必要です。

まとめ

緑ナンバー(一般貨物運送事業)の新規許可を取るための条件をまとめました。
緑ナンバーを取得するためには、国土交通省が定める上記の条件をクリアした上で、公示等にしたがい許可を取るための申請書類や添付書類を準備・作成しなければいけません。また、申請後も法令試験の対策準備も待っています。
運輸支局の審査における標準処理期間は3~5か月とされていますが、これはあくまで運輸局の話ですので条件とされてる営業所、車庫、車両、運転手、運行管理者、整備管理者、資金調達の準備も考慮すると最低半年から1年の準備期間が必要ですね。

ポイント

ただし、すべての要件が申請前に準備できていなければいけない事ではありません。申請後に準備・提出すればいい要件もあります。それだけで時間の短縮や費用の節約になるでしょう。

当事務所では緑ナンバー(一般貨物運送事業)の新規許可を取得したいお客様を当事務所は迅速な対応でサポートさせていただきます。
緑ナンバー(一般貨物運送事業)の新規許可でお悩み方はぜひお問い合わせください。



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