緑ナンバー(一般貨物運送事業)の新規許可登録までの流れについて

緑ナンバー(一般貨物運送事業)の新規許可登録までの流れについて
これから一般貨物運送事業(緑ナンバー)の許可を取りたいと考えている方でもどんな手順や流れでどのくらいの準備期間を見ておけばいいのかわからない方もいらっしゃると思います。
実際に、どんな準備が必要でいざ動き出したらどのような手順で動いていくのかわからなければ、いざ取得したいと思った時にどこから手をつければいいのかわかりません。
特に運送事業の許可は手続きは準備する事も多く要する期間は長くなるので大変な許可申請です。なるべく早く取り掛かるに越したことはありませんので流れを確認しながら新規許可取得を目指しましょう。
許可申請の流れ
① 営業所、休憩・睡眠施設、車庫の物件探し ② 事業資金の準備 ③ 運行管理者(候補)、整備管理者(候補)の確保 ④ 運送事業許可申請の要件をクリアしているか確認 ⑤ 運送事業許可申請に必要な書類の準備と作成 ⑥ 営業所を管轄する運輸支局へ許可申請書類の提出 ⑦ 法令試験受験をして合格する(申請月の翌月以降の奇数月) ⑧ 運輸局で書類審査(審査の最終には2回目の残高証明を提出) ⑨ 運送業許可の取得(申請後から3~5か月後) ⑩ 登録免許税(12万円)の納付 ⑪ 運行管理者および整備管理者の選任届の提出 ⑫ 運輸開始前の確認報告(社会保険や雇用労災保険の加入証明や運転手の運転免許証の準備) ⑬ 事業用自動車連絡書を運輸支局にて発行 ⑭ 車検証の書換え、ナンバー変更 ⑮ 運輸開始届出書の提出、運賃料金設定届出書の提出
許可取得までの期間の目安
上記の手順を踏んで運送事業を開始するまでにはどのくらいの期間が必要になるのでしょうか。
実際に準備を開始してから運輸開始まで約6ヶ月~1年が目安となる時間です。特に営業所や車庫の物件探しや運送事業に使用する車両の確保によって許可取得までの時間が変動します。
事業開始するにあたっての資金の確保も事業者様にとって重要な事項ですから、計画を立ててあまり慌て立てずに事業を継続していくことも想定しながら最初の準備から申請手続きを進めることをオススメします。
申請の流れについてざっくりと説明
営業所、休憩・睡眠施設、車庫の物件探し
まず、営業所や車庫をどこに予定するか。営業所であれば市街化調整区域では原則許可が下りませんし、運送業の事務所を設置できるか建築基準法の用途地域の確認も必要です。農地法は営業所や車庫についても関わりがありますので場合によって農地転用も必要です。自己所有の建物や賃貸物件で予定しても本当にそこで大丈夫か?不動産会社は運送業許可について理解をしている人はほとんどいないと思います。おそらく、許可が取れるかは自身で調べる事になるので出来ればそこから行政書士と一緒に物件を探す事で期間はぐっと変わってきます。
運行管理者・整備管理者とドライバーの確保
運行管理者と整備管理者は新規許可を取るときに選任をしなければいけません。
また、当然に5台以上のトラックを使用して事業を行うのですから訂正なドライバーを5人以上確保しなければいけません。
運行管理者と整備管理者はドライバーと兼任は可能ですが、運行管理体制が適正に取られているか審査をされますので出来れば余裕のある人員計画を立てるのが望ましいです。
運行管理者と整備管理者については別の記事で
許可要件の確認と書類の作成・提出
許可取得に必要な準備ができた後は、許可申請に必要な書類の準備をして申請書類の作成します。この期間も約1ヶ月はかかることを想定しておきましょう。
運送業許可は揃える書類(申請書類以外に物件関係書類、宣誓書、履歴書、保険関係書類、資金証明書類、人的要件に関わる書類)が非常に多く準備しなければいけませんので、事業者様が日常の業務をしながら準備をすれば最低でも約1ヶ月はかかると想定しておきましょう。
申請書類が完成したら管轄運輸支局の輸送担当窓口に提出します。
法令試験に合格
常勤役員のうちの1名が、個人事業であれば事業主本人が法令試験を受験します。
もし、試験に落ちても再受験が可能ですが1度限りです。2度連続で不合格になってしまうと運送業許可申請自体を取り下げることになります。
運送事業の許可
許可申請から3~5ヶ月後が一般的な運輸局の標準処理期間です。
登録免許税の納付
許可後に納付書が発行されますので登録免許税12万円を納付して書類を提出します。
運行管理者と整備管理者の選任届出を提出
運行管理者と整備管理者の選任届出を運輸支局へ提出します。
申請の際には、運行管理者資格者証のコピーや整備管理者の資格を証明する書面(自動車整備士資格者証、整備管理者選任前研修修了証明書のコピー、実務経験証明書)を添付する必要がありますので事前に準備をしましょう。
運輸開始前確認報告を提出する
運輸開始前確認報告を輸送担当窓口に提出します。
確認報告は、下記の事項を確定して記入しなければなりません。
1.運行管理者・整備管理者の選任届について
2.運転者の雇用について
3.社会保険等について
4.事業用自動車等連絡書の提出について(車両一覧)
そして、確認報告の添付書類として、社会保険に加入したことを証明する書類の提出が求められているので、運行管理者、整備管理者、運転者(加入義務がある場合)の①労働災害保険、②雇用保険、③健康保険・④厚生年金保険の加入手続きを確認報告の前に行う必要があります。
また、運送事業に使用する事業車両は登録番号又は車台番号で車両を特定して記入します。
準備をすることも多く記入する箇所も多い手続きです。
事業用連絡書を取得して緑ナンバーの取り付け
緑ナンバーを取得する際には事業用自動車等連絡書という書類が必要です。
事業用連絡書は、運輸支局の輸送担当窓口にて取得することができます。
連絡書は、ナンバー取得の際の申請車両が運送事業用の車両であることを登録窓口で証明する書類です。輸送担当窓口より経由印を押された連絡書を取得したら、営業所を管轄する運輸支局の登録窓口にて登録申請を行います。
登録申請の際には、封印を取り付けるために車両の持込も必要になりますので車両の手配や日程の調整が必要になります。もしくは、別途費用は掛かりますが封印業務を行っている行政書士に依頼をして封印をしにきていただく方法あります。
※運送業に使用する車両は連絡書で車庫の確保を証明するため、警察署で取得する車庫証明は不要です。
運輸開始届を提出
上記の手続きが完了すればいよいよ運送事業のスタートです。
事業開始を開始したら速やかに運輸開始届出書(緑ナンバー書き換え後の車検証を添付)と運賃料金設定届出書を許可書を受領した運輸支局の輸送担当窓口に提出しましょう。
これで手続きは完了です。
※なお、許可日から運輸開始までは1年以内に行う必要があります。
終わりに
ざっくりとですが、緑ナンバー(一般貨物運送事業)の許可を取得するまでの手順や流れを紹介いたしました。思った以上に時間と手間がかかる事がお分かりになったかと思います。
上記の手順の他にも
・選任運転者に適性診断を受診させたり教育の実施。
・自動車損害保険(任意保険)の加入
・デジタコ・ドラレコや会社名のペイントシートを車両に装備
・日常業務をするための帳簿類の用意
・営業をするための事務所の準備
・開業の挨拶回り
など、申請手続きをしながら事業者がすることは多いので、申請から開始届までの手続きを行政書士に依頼をすることは多くのメリットがあると思われます。
一般貨物運送事業の許可を取ることに不安がある方はぜひ一度当事務所にご相談ください。
お問い合わせ
※運輸開始から3か月以内に適正化実施機関による特別巡回指導が実施されますので、運輸開始から事業者と運転者は法令を遵守し安全運行を心がけをしましょう。